同じ成分で経口・注射・座薬がある理由

ミコナゾールは、抗真菌薬の有効成分として幅広い医薬品に処方されているものですが、同じ成分であるのにもかかわらず、軟膏やクリームといった、皮膚の表面から患部に直接指で塗るようなタイプのほかに、経口タイプ、注射、座薬などのさまざまな種類があるのは不審に感じられるでしょう。これは、ミコナゾールがターゲットとしている真菌とよばれるものの性質を考えるとわかりやすいといえます。
真菌というのは、実はカビのことであり、通常は目には見えないものの、日常の暮らしのなかではどこにでもいる存在です。例えば食べ物などを放置していると、知らずにカビが生えることがありますが、これは真菌が多数繁殖した姿であり、カビが生えやすい環境としても、適度に湿り気や温度、栄養分などに恵まれた場所であることがわかります。
人間の体内にも実はそのような場所が多く、健康体であれば真菌の侵入を排除していますが、ストレスで体力が低下してしまうとか、皮膚に傷ができたなどの理由で、真菌が入り込んでしまうこともあります。その結果、皮膚や粘膜でこうした真菌が繁殖をはじめて、水虫、しらくも、カンジダ症などといった病気にかかってしまうのです。
水虫などは靴で蒸れやすい足の指などにできるものですが、こうしたものは軟膏タイプで充分に治療ができます。ところが、カンジダ症のなかには、もちろん通常の皮膚にできるものもありますが、口や陰部の粘膜にできてしまったりするものがあります。また、特に白血病の患者など免疫が弱い人については、肺真菌症のように、肺の中などの内臓にも発生することさえあるのです。
当然ながら、こうしたケースでは外用の軟膏の塗布という手段が使えないため、経口タイプ、注射、座薬といった別の形式でミコナゾールが真菌に届くようにするのです。